Googleが作った新しい生成AI『NotebookLM』は企業の決算分析に使えるかの検証①

生成AI
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NotebookLMとは

2023年夏にGoogleはNotebookLMを発表しました。そして日本においても2024年6月より提供が開始されています。従来のChatGPTやGeminiが主にWeb上のデータを元に答えを導くのに対して、NotebookLMはアップロードしたデータを元に回答します。データを自身で選択できるため意図しない回答の抑制させることに期待できます。

NotebookLMでアップロードできるデータ種別

NotebookLMは以下の種類のデータを扱えます。

テキスト形式

  • テキストファイル(.txt、.csvなど)
  • Google ドキュメント
  • PDFファイル
  • スプレッドシート
  • プレゼンテーション
  • ウェブページ

画像

  • JPEG、PNG、GIFなどの画像ファイル

各データ種類の詳細

  • テキスト形式
    • NotebookLMは、テキスト形式のデータを最も得意としています。文章の内容を理解し、様々な機能を提供します。
    • 具体的には、以下のようなことができます。
      • 要約生成
      • 質問応答
      • 文脈に応じた文章生成
      • 箇条書き化
      • 表形式化
      • 翻訳
      • コード生成
    • 対応言語は260種類以上と非常に多く、日本語も含まれます。
  • 画像
    • NotebookLMは、画像の内容を理解し、テキストに変換することができます。
    • 具体的には、以下のようなことができます。
      • 画像の説明生成
      • 画像に関連する文章生成
      • 物体認識
      • 画像検索

NotebookLMの使い方

ここでは具体的な使い方を説明します。

①NotebookLMのサイトへアクセスする

https://notebooklm.googleへアクセスし、サイト右上にある『Try NotebookLM』クリックします。ノートブックと表示されている画面の『新しいノートブック』をクリックします。

②データをアップロードする

はじめて新しいノートブックを作成するとアップロードデータを確認されます。Googleドライブ、PDF、テキストファイル、コピーされたテキスト、ウェブサイトのいずれかを選択しデータをアップロードしてください。

追加でデータをアップロードする場合は左上の⊞をクリックするとアップロードできます。またアップロードしたデータのうちAIの回答に不必要なデータである場合、✓マークを外すことで回答にそのファイルの内容は反映されないようにできます。

③ノートブックガイドが表示される

アップロードしたファイルを元にノートブックガイドが表示されます。項目として主に以下の項目があります。画像では2024年4月25日発表、アステラス製薬の決算短信と決算説明資料をアップロードしています。

生成項目

よくある質問や学習ガイド等のボタンがあり、クリックするとメモとして文章が自動生成されます。

概要項目

アップロードしたファイルの内容を要約した内容がまとめられた文章が表示されます。長い文章で構成される本の内容や論文、決算書であっても分かりやすくまとめてくれます。

・質問の候補

ファイルの内容からどういった質問をされるかを予測し表示してくれます。

アステラス製薬の決算短信と決算説明資料をもとにした場合、決算の内容が概要がわかりやすくまとめられています。業績は芳しくないのですが企業が提出した資料をもとに概要は生成されていますのでポジティブな内容となっています。

質問の候補としては

・製薬会社アステラス製薬の2023年度業績について

・アステラス製薬は、持続的な成長に向けてどのような取り組みを行っているか

・アステラス製薬の今後の見通し、特に重点戦略製品と開発パイプラインについて

が並んでいます。

④チャットまたは質問の候補から質問してみる

質問をしてAIに回答させてみます。ここでは質問の候補から製薬会社アステラス製薬の2023年度業績についてを質問してみます。

質問へのNotebookLMによるAI回答

アステラス製薬の2023年度の業績は、売上収益は前年同期比で増加し、修正後の通期予想を上回りました。 XTANDIの売上は前年同期比で約900億円増加し、通期予想の達成に貢献しました。 PADCEV、XOSPATA、VEOZAH、IZERVAYは、前年同期比で約700億円増加し、成長ドライバーとして売上拡大に貢献しました。 コア営業利益は、主にIveric Bio社の買収の影響により、前年同期比で減少しました。 しかし、修正後の通期予想に対しては、売上収益の上振れと効果的なコストマネジメントにより、想定を上回る結果となりました。 2023年度の売上収益は1兆6,037億円で、前年同期比5.6%増、2023年度の通期予想達成率は102.7%となりました。 コア営業利益は1,846億円で、前年同期比35.6%減、2023年度の通期予想達成率は112.6%となりました。

無駄のない文面で業績についてよくまとまった回答が表示されました。

情報ソースを変更し同じ質問をして回答の変化を確認する

AIの読解能力は理解できたので次に情報ソースの違いにより回答がどう変化するかを確認してみます。質問内容は『アステラス製薬の配当性向はいくつですか?また配当を今後も維持できる可能性は?』で確認していきます。

・決算説明資料のみをもとにした場合

質問へのNotebookLMによるAI回答

アステラス製薬の配当性向と配当維持の可能性

提供された資料には、アステラス製薬の配当性向に関する具体的な数値は記載されていません。

しかし、2024年度の連結業績予想では、一株当たり配当金を4円増配の74円とする計画が示されています。 この増配は、PADCEV、VEOZAH、IZERVAYといった重点戦略製品の成長による増収を見込んでいることや、 2024年度以降の利益成長を見据えていることが要因として挙げられています。

また、アステラス製薬は、堅調な利益成長予想に基づき、経営計画2021の期間中は、より高い水準の配当を目指していく方針を掲げています。 さらに、利益・資金計画および実績に基づき、経営計画期間を通じた配当水準の引き上げも検討していくとしています。

これらのことから、アステラス製薬は、今後も安定的な配当の維持と、利益成長に応じた増配の可能性を示唆しています。

説明資料をもとにした場合、今後も安定的に配当を維持し成長するとAIは判断しています。次に決算説明資料と決算短信の2つの資料を提供し同じ質問をします。

・決算説明資料と決算短信の2つの情報ソースを与えた場合

質問へのNotebookLMによるAI回答

アステラス製薬の配当

アステラス製薬の2024年3月期の連結配当性向は**736.4%**でした。 これは、2024年3月期の親会社の所有者に帰属する当期利益が170億円だったのに対し、年間配当金総額が1,266億円だったためです。

アステラス製薬は、2025年3月期の年間配当金を1株当たり74円とする予定です。 同社は、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な配当の向上に努めると表明しています。 また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上も図るとしています。

ただし、2024年3月期の配当性向が736.4%と非常に高かったことから、今後の配当維持の可能性については、業績の推移や投資計画などを総合的に判断する必要があります。情報源からは、将来の配当支払いを保証する情報は得られませんでした。

決算短信には具体的な企業のデータが数値で提供される関係か回答内容に変化が見られます。配当性向が736.4%と非常に高いことから今後の配当維持の保証する情報はないとやや懐疑的な内容となりました。

まとめ

今回はじめてNotebookLMを使用し決算資料を読み込ませ、どの程度投資に活用できそうかを初歩的内容ですが確認しました。情報ソースを自身が提供することにより数値データの正確性は非常に高いものになっていると感じます。

ただし今回提供データが決算説明資料の場合とプラス決算短信による場合で質問に対する回答に変化がみられたように提供するデータを複数用意することが重要であると感じました。今回はここまでですが今後複数年度の決算短信を読み込ませEPSの推移や、配当金の推移をまとめることが可能かテストしたいと思います。

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